【アイマスSS祭 煌】美也「とある雪の日に」
1 : 矢橋P   2026/03/26 00:06:37 ID:wwgmpVQKTI
遅刻ですがSS祭に参加させていただきます

    -注意-

・ミリオンライブのSSです
・オリキャラが多数出てきます
・だけどプロデューサーは本筋には出てきません


駄文ですがどうかよろしくお願いいたします
2 : 矢橋P   2026/03/26 00:08:05 ID:wwgmpVQKTI
何か面白い話……ですか?
それならですね〜。6人分のお茶を入れた時に全てのお茶に茶柱が立った時の様子でも~



え?その話しは前に聞いたことがある?

そうでしたか、失礼しました~


む〜ん。そうですな……

それでは……あの不思議な電車の中での出来事をお話ししましょう~


あれはとある雪が舞い落ちる雪の日でした……






 
3 : 矢橋P   2026/03/26 00:10:54 ID:wwgmpVQKTI

二月中旬、冬も終盤……というところでその日、朝から雪が降った
雪国でなら何も珍しくもないことだけど、ここは首都圏だ
名残雪というやつなんだろうか、なんでも北極から発生した寒気が日本列島になだれ込んできたんだって


でもさすがは首都圏で雪は降れど気温は氷点下とはならずプラスの気温
雪も少々積もってはいるけど踏めばすぐぐしゃりとへこんでしまう、いわゆるべた雪ってやつだ。これじゃ雪だるまも作れやしない

そんなわけで珍しさこそあったものの、大混乱というほどではなかったんだ






 
4 : 矢橋P   2026/03/26 00:12:07 ID:wwgmpVQKTI

朝の7時半、朝食を済ませ身支度を済ませたぼくは家を出る

最寄りの駅には15分ちょっと、走るほどでもないので緩やかに歩いた
靴が雪でびしょびしょになる前に駅のホームにたどり着く。電光掲示板を確認すると運行ダイヤは正常に運行してるらしい
ダイヤが乱れて……というのを少し期待したのだけど、期待に応えてくれなかったようだ
 
5 : 矢橋P   2026/03/26 00:13:22 ID:wwgmpVQKTI

そうぼやぼやしている内に駅構内は人で溢れ、押して押されてと押しくら饅頭の会場と化する
ぼくは中学生なのだけどサラリーマンと一瞬に毎日押しくら饅頭に参加している
徒歩や自転車通学ならば騒がしい恒例行事に参加しなくてよいのだけど
中学校に進学する際、家から一番近い中学校を選ばず家からそれなりに遠いところにある都内でも有名な進学校を選んだものだから電車ではないと通学出来ないんだ
6 : 矢橋P   2026/03/26 00:14:00 ID:wwgmpVQKTI

今の時代、子供が電車で通学なんて珍しいことじゃない
現に目の前で絵本を開いている小学生もぼくが通う進学校の隣にある教育小学校に通うために一人で通学しているしね



……だから物珍しいのはここからだろう
7 : 矢橋P   2026/03/26 00:15:49 ID:wwgmpVQKTI


『次は~~。ーーー教育学校前。次は~~。ーーー教育学校前』



電車に乗ってから20分程でぼくが降りなきゃいけない駅に電車が到着する
……だけどぼくはそれをスルーする
8 : 矢橋P   2026/03/26 00:17:12 ID:wwgmpVQKTI

そのまま電車に乗り続けて30分後
ぼくの乗った電車は終着駅に到着し、折り返して来た方向に戻る路線に切り替わる

時刻は9時を越え、今頃学校の授業開始のチャイムはとっくに鳴り終わったところだろう。それでもぼくは焦らない

この頃になればラッシュ時は終わり、つり革に身を預けることしか出来なかった車内もちらほら空席が現れぼくはドスンと腰を下ろす。と同時に胸もなで下ろした
そしておもむろに路線図を眺めながら今日の予定を考え始めた
 
9 : 矢橋P   2026/03/26 00:17:59 ID:wwgmpVQKTI

そう、これがぼくの日常
いつからだろうか。ぼくは朝の電車に乗って降りなければならな駅のホームに電車が着いた瞬間、金縛りにあったように足が動かなくなったのは

 
10 : 矢橋P   2026/03/26 00:18:33 ID:wwgmpVQKTI

始めはたまたまだった

満員電車でぎゅうぎゅう詰めでドアから離れていたこともあり、たまたま降りることが出来なかったんだ
……でもなんだか降りれなかったことにほっとした自分がいたんだ
 
11 : 矢橋P   2026/03/26 00:19:19 ID:wwgmpVQKTI

それから次の日もそのまた次の日も、駅まで来て電車に乗ることまでは出来るのに学校がある駅には降りることが出来ない
駅のドアが開き、そこに向かって足を向けても体が震えるばかりでちっとも進みやしない。そうこうしているうちに目的の駅は通り過ぎてしまう

次の駅で降りて反対方向に向かう電車に乗り直して(学校の傍の本来降りなければいけない駅以外なら降りられる)またその駅から降りられず、そのまま電車に乗ったままぐるりぐるりぐるり
何周もして昼過ぎまで時間を潰した後、ぼくは駅から降りた。……学校ではなく出発地点の家から最寄りの駅に
 
12 : 矢橋P   2026/03/26 00:22:57 ID:wwgmpVQKTI
 
裏技というほどのことではないのだけど、電車って改札口に降りなければ料金は発生しない
あくまで最初に切符を通した駅と最後に降りた駅の距離分しか発生しない
丸一日電車に揺られて端から端へ移動してもその分の料金が発生するわけではない
さすがに特急列車だと切符を拝見されるから乗ることが出来ないけど
 
13 : 矢橋P   2026/03/26 00:23:44 ID:wwgmpVQKTI

こうなってから一ヶ月ぐらいか。これがぼくの日常だ
当然親や学校にはとっくにバレている
やってることはサボりなので始めは散々怒られたけど……。今は呆れられて気にすらされてない
不登校ってことになるのだろうけど引きこもりよりはマシだという感じか
 
14 : 矢橋P   2026/03/26 00:24:15 ID:wwgmpVQKTI

ぼくも始めは今日こそは駅から降りなきゃ、駅から降りなきゃ!って思ったものだけど今じゃ焦りもなく落ち着いたもの
事実、ぼくが朝買った切符は……一番安い隣の駅の値段の切符だ。少々離れた学校がある駅の切符の値段じゃない
つまり……最初から行くつもりは無いってこと
15 : 矢橋P   2026/03/26 00:25:00 ID:wwgmpVQKTI

どうせ学校に行かないのならわざわざお金を払って電車に乗る必要はないじゃないかって?
確かにそうなんだけど、最初から学校に行く気も出さないほど……ぼくは不真面目になれないらしい
学校に行く気は無いけど、行こうという格好はしていました。……という体裁は残したいというわけだ
「頑張っているんですよ。その気にが全くないわけじゃないんですよ。今日だって駅まで来て電車には乗ったんですよ。ただ降りれなかっただけで……」って自分自身に言い訳しているんだ
そんなこと何の意味もないのに
16 : 矢橋P   2026/03/26 00:25:44 ID:wwgmpVQKTI

時間が経ち、もうどうせ授業には間に合わないって思えば後は気楽なもので後は好きな時間が始まる
お金は払っているんだ、どうせなら多少居座ってこの車窓からの景色を楽しもう




 
17 : 矢橋P   2026/03/26 00:26:03 ID:wwgmpVQKTI





18 : 矢橋P   2026/03/26 00:26:44 ID:wwgmpVQKTI

時刻は昼を過ぎて14時頃


いつもならもう駅から降りている時間だけど少々長く居すぎたか
これも雪が降ったせいだ

普段とは違う車窓から見る雪景色に感動して、どうせなら街中より郊外だな!って思って、普段乗らない郊外に向かうローカルな線に移動したのが間違いなのかもしれない
19 : 矢橋P   2026/03/26 00:27:37 ID:wwgmpVQKTI

ぼくが見渡すと今この電車に乗っているのは……



ギャルっぽい高校生ぐらいの女子


ヤンキーぽい男の人


中年を越えて壮年に入り始めたおじさん


……そして
20 : 矢橋P   2026/03/26 00:28:33 ID:wwgmpVQKTI


「お~、そうなんですか~」

「そうなのよ。まさか都心部で雪が降るなんて珍しいわねぇ。おばあちゃんの体には堪えるわ~」




『次は~~ーーー駅。次は~~ーーー駅』



「あら、次で降りなきゃ。それじゃ美也ちゃん、話し相手になってくれてありがとね」

「いえ〜。こちらこそ〜。滑ると思いますので帰り道は足元にお気を付けてくださいよ~?」

 
21 : 矢橋P   2026/03/26 00:29:30 ID:wwgmpVQKTI

あの子も女子高生だろうか。一緒に居たおばあちゃんは次で降りちゃうみたいだけど
今どきおばあちゃんに話しかける女子高生って珍しいや



毎日現実逃避するために電車に乗るぼくだけど、一つだけ楽しみもあって
それが乗客を観察することだ

電車に乗っていると色んな人間を観ることが出来て
景色を眺めるだけだと飽きるからやるようになったのだけど、これがなかなかに楽しい
22 : 矢橋P   2026/03/26 00:30:44 ID:wwgmpVQKTI

例えばさっき降りたおばあちゃん。某有名なデパートの紙袋を持っていた
おそらくだけど10時開店に合わせてデパートに電車で向かってその帰りだったんだと思う

そんな感じで
今どきの子供のファッションに驚愕したり
サラリーマンが片手に読んでる本を覗いてみたり
旅行客が両手にぶら下げたお土産袋を確認したりと様々だ
23 : 矢橋P   2026/03/26 00:31:14 ID:wwgmpVQKTI

自慢じゃないけどこの一ヶ月でだいぶぼくは洞察力が付いた……気がする
いっそ探偵にでもなろうか?
……いや、駅も降りられない意気地無しに探偵なんか無理だな
24 : 矢橋P   2026/03/26 00:32:01 ID:wwgmpVQKTI

プシュー



おばあちゃんが降りた
これで一人減って乗客はぼくを入れても5人か。ぎゅうぎゅうなのも嫌なのだけど、あまりにも少ないと寂しいもんだ
25 : 矢橋P   2026/03/26 00:32:33 ID:wwgmpVQKTI

ゴットン ゴットン ゴットン



ゴット……



ピタッ




ん?どういうことだ
電車が止まったぞ
26 : 矢橋P   2026/03/26 00:33:05 ID:wwgmpVQKTI

『お客様、大変申し訳ございません』

『この先の踏切で異常があった模様で緊急停止を行いました』

『現場の状況を確認し、異常無しと確認してから運行再開を再開いたします』





は?
どういうこと!?
27 : 矢橋P   2026/03/26 00:33:50 ID:wwgmpVQKTI

「マジ〜?ふざけんなし!」

「何がどうなっておる!もうちっと説明せい」

「あ……、これはヤバいパターンやな。マズいなー……どないしょ」

「おや〜。どうしましょう~」





まさかこんな所で足止めくらうなんて
こんなことになるなら雪が降った日の電車に長居するんじゃなかった!
28 : 矢橋P   2026/03/26 00:34:53 ID:wwgmpVQKTI



29 : 矢橋P   2026/03/26 00:35:17 ID:wwgmpVQKTI

あれから10分、20分、30分と経った
それでも電車が動く気配はない


そうなると僕ら5人の乗客も黙ってはいられなくなっている
おじさんはブツブツ呟き出したし
不良男は腕を組んで足音を鳴らし始めた
ギャルっぽい女の子は……おや、これは
30 : 矢橋P   2026/03/26 00:36:05 ID:wwgmpVQKTI

「ねぇ、みんな寒くない?」




そうギャルっぽい女の子が話し始めた


「あたし、こんなことになるなんて思わなくてさ。コートなんか用意してないし、ちょー寒いんだけど」
31 : 矢橋P   2026/03/26 00:36:46 ID:wwgmpVQKTI

「そうですな〜。さっき思わず身震いしてしまったところです~」

「急な寒気やし、暖房が効いてないかもしれないなぁ」

「それがどうかしたんじゃ。喚いたところでどうかなることでもあるまい」



「それでさ、あたし達一カ所に集まんね?どうせ暇っしょ」



……それってぼくも含まれているんですか?
32 : 矢橋P   2026/03/26 00:38:00 ID:wwgmpVQKTI







なんだかんだで5人しか居ない乗客は一カ所に集まった
2:3の男女に別れて左右に向かい合うように座っている

※この世界ではコロナを含めた感染症が流行っていない世界線です
33 : 矢橋P   2026/03/26 00:41:35 ID:wwgmpVQKTI

改めて観察してみよう


壮年になりかけのおじさん
手ぶらで軽いスタイル。何かをしに出かけているって格好じゃないな


不良っぽい男
間近で見るとロングコート風の学ランを着て強面だ。今でも残っているんだなこういうの
気になるのはマスクを着けていることと空の紙袋を持っていることかな


ギャルっぽい女の子
ギャルっぽいっていったけどガングロではないしネイルを着けているわけではない
だけど行動力がギャルっぽい


そして問題のおばあちゃんと話していた女子高校生
薄々感じてたけどこの眉毛はやっぱり…………
34 : 矢橋P   2026/03/26 00:42:50 ID:wwgmpVQKTI

「むふふ〜。みんなで集まるとなんだか暖かくなってきましたね~」

「でしょでしょー!我ながらナイスアイデアじゃん!」

「騒がしいやっちゃなー。おじさんの耳には響くからトーンを下げてくれんか」

ぼくもおじさんに同意する。ギャルっぽい女子はいかにも陽キャラといったコミュニケーションを発揮していてついて行けない
35 : 矢橋P   2026/03/26 00:43:59 ID:wwgmpVQKTI


「それでさ、どうせ集まったならみんなでお話ししない?」


なんだ突然
偶々居合わせた5人を一カ所に集めるだけでも変だけどその上でお話ししましょう?
36 : 矢橋P   2026/03/26 00:44:39 ID:wwgmpVQKTI

「というて、わしは喋ることなどありゃせんぞ」


そりゃそうだ。何も接点のない5人でいきなりお喋りしようたってどだい無理ってもの


「自己紹介だけでもいいじゃん。ほら!」


それでもギャルはみんなに話してほしいのか発言を促してくる
そんなに喋りたいのなら一人で喋ってればいいのに
37 : 矢橋P   2026/03/26 00:45:30 ID:wwgmpVQKTI

「自分かい。自分は香山や見ての通り何の変哲もないただのおっさんや」

「わしのことは番長とでも呼べい」

「ぼくは……雪雄です」

「あたしは春子。ギャルを目指して邁進中みたいなー?」

「私は宮尾美也と申します~。ここでお話しするのも何かの縁です〜。みなさんどうかよろしくお願いしますね~」
38 : 矢橋P   2026/03/26 00:46:43 ID:wwgmpVQKTI


「嘘っ!宮尾美也ちゃんってアイドルじゃん。今人気の39プロジェクトの!」

「おや~?気付かれしまいましたか。恥ずかしいですな~」




それは嘘だ。春子さんは最初から美也さんがアイドルであることを知っていたはずだ
さっきまでアイドルが写った雑誌を見ながら美也さんにバレないようにこっそりと、ちらちら見つめていたのだから
39 : 矢橋P   2026/03/26 00:48:06 ID:wwgmpVQKTI

……なるほど読めた。このギャル、思いのほか策士だ
おそらく春子さんはアイドルが大好きで美也さんと話しがしたかった
だけど「アイドルの宮尾美也ですよね?私とお話ししませんか?」と突然詰め寄ったところで美也さんも難色を示すのは想像に難くない
だからみんなを集めてあたかも自然を装っているようにしたんだな
40 : 矢橋P   2026/03/26 00:48:51 ID:wwgmpVQKTI

「ほ~。これが今の若い子に人気な……ええっと、サザンオールスターズかいな」

「違うし!それを言うなら765プロオールスターズでしょ!美也ちゃんは39プロジェクトだし!」

「最近の若者の流行りなんかしらんわ!」


「まあまあ。サザンオールスターズの方が”今は”知名度がありますからね~」

(今はって……)

「みんな。今日は美也ちゃんの名前だけは覚えて帰りなよ!」


推しの布教かい。と小さく番長さんが呟いた
そしておもむろにマスクを外す
どうやら番長さんがマスクを着けていたのは自分自身が風邪気味だからではないらしい
41 : 矢橋P   2026/03/26 00:49:58 ID:wwgmpVQKTI

「それで、自己紹介は終わった。これから何を話すんじゃ。さっきも言ったがわしは話すことなんかありゃせんぞ」


この番長って人一人称はわしだったりずいぶんコテコテな人だな
だけど話す内容が無いってのはその通り。でもこれが春子さんの思惑なのだろう
みんなと話したいとはいうものの……
堅物の番長さんに、香山さんは歳が離れすぎてぼくたちと話題が合わない
そしてぼくは外見通り誰が見ても陰キャだ。必然的に残った春子さんと美也さんだけでお喋り出来るようになるってわけ。上手いシナリオだなあ
仕方ない、ぼくもその思惑に乗っかってあげるかな



「ぼくも喋ることがないんで……」

「別に話したいことがないなら黙ってればいいし!あたしは美也ちゃんとおしゃべりしたいかなって」
 
42 : 矢橋P   2026/03/26 00:50:45 ID:wwgmpVQKTI

「話しのネタならあるやろ」

あら?


「自己紹介のついでに自分のことでも話してみたらどうや。あんたら"普通の学生じゃない”んやろ?」
43 : 矢橋P   2026/03/26 00:51:14 ID:wwgmpVQKTI
その香山の言葉でみんな目付きが変わった
特に思惑を外された春子さんにいたっては明らかに眉が下がった

これは痛いところを突いてきたな
平日のこんな郊外の路線でこんな時間に電車に乗っている未成年
仕事ということもないだろう。みんなワケありなはずだ
美也さんだけは違うのかもしれないけど
44 : 矢橋P   2026/03/26 00:51:56 ID:wwgmpVQKTI

「言いだしっぺの法則ってのがあるじゃん。そんなこというならおじさんから話しなよ」

「おじさんだって仕事や買い物帰りってわけじゃないでしょ」

春子さんは睨み返しながら言い返す
45 : 矢橋P   2026/03/26 00:52:29 ID:wwgmpVQKTI

「はっはっは。こりゃ一本取られてしもうた」

「そうだなぁ……。まずは自分から話そうか」



突っ返せば引っ込むと春子さんは目論んだみたいだけど、香山さんは怯まずに話しを続けるみたいだ
46 : 矢橋P   2026/03/26 00:53:07 ID:wwgmpVQKTI



「自分は自衛隊に勤めておってな。大した偉くもなれなかったが定年までよう働いた」

「ところがな、自衛隊ってところは定年が60歳じゃないんや。最近は引き上げられたらしいけど自分は55歳で定年やった」

「つまり、他のおじさんがまだ働いている年齢なのに無職になってしまってな。同期の仲間達は再就職したりしているみたいやけど自分はちょっと一休みしたい気分ですぐには働かずぶらぶらしてたんや」

「そうこうしているうちに3年経ってしもうた。年金だってまだもらえる年齢やない。今や妻のパートの稼ぎが主に家計を支える有り様」

「近頃は妻からは小言も多くなってな。家に居ても邪険に扱われるし、こうして外でぶらぶらしておるわけや」
 
47 : 矢橋P   2026/03/26 00:53:39 ID:wwgmpVQKTI

おおう。トップバッターから重い話が出てきたぞ



「へーぇ。おじさんも案外大変なんだね」

「他人事じゃないで。あんたらもぼけっとしてると自分と同じようになるんやからな」

「うっさいし!うちはおじさんのようにはならないから」

香山さんに反論するように今度は春子さんが自己紹介を始めた



 
48 : 矢橋P   2026/03/26 00:54:09 ID:wwgmpVQKTI

「あたしは〇〇高校に通ってる女子高校生です~!モチのロン授業はサボりだよ」

「……別にあの高校は不良学校ってわけでもないじゃろう。なぜお主はグレとるんじゃ」



番長さんの言う通り〇〇高校はそこそこ知名度があり進学校って程ではないにせよ
不良のたまり場ってわけでもない
49 : 矢橋P   2026/03/26 00:54:48 ID:wwgmpVQKTI

「そうだよ。あたしは周りに流されてグレてるわけじゃねーし」

「なんつーかさ。あの学校じゃあたしが本当にやりたいと思えることがないんだよねー。あそこに居ても時間の無駄みたいな?」

「それで学校に行かずにこうしてぶらぶらしているわけよ」




なんだそれ
……って返したいところだけどここにいる5人はみんな同じようなものだから特に咎めない
あ、でも美也さんは違うか。今だって少し悲しそうな顔をしているし
50 : 矢橋P   2026/03/26 00:55:23 ID:wwgmpVQKTI

「はい今度は君の番!」

「……ぼくですか」




初っぱな香山さんが笑えない身の回り話をしたおかげでなんだかなんでも話していいような雰囲気になってるなぁ
……適当に喋ってさっさと終わらそう
51 : 矢橋P   2026/03/26 00:56:19 ID:wwgmpVQKTI



「ぼくは△△中学校に通っていました」

「ほう、ええところに通ってるやないか」

「雪雄っちって頭良いんだー。ただのオタクだと思ってごめんね」


雪雄っちって……
それにオタクでも頭いい人はいるんだぞ




「だとすればこんなところにわしらといる場合じゃないんじゃないのか」

「……今は通えていません」

「ええー、どうして?」

「いじめです。上級生にいじめられて通えなくなりました」
52 : 矢橋P   2026/03/26 00:56:57 ID:wwgmpVQKTI

『いじめ』。このワードを出しておけば大体みんな黙ってくれるからありがたい



「……そうかいな」

「あの進学校頭が堅いイメージあったけど、どこでもいじめってのはあるもんだね」

「ええ、まあ……。これがぼくがここに居る理由です」
53 : 矢橋P   2026/03/26 00:57:52 ID:wwgmpVQKTI

「これ以上触れるのもやぼみたいだし、番長さんの番!」



「何もないぞ」

「はあ?」

「わしはやましいこと何もないわい」


「本当に~?」

「こんな電車に居るのもどうしても外せない用事があったからじゃ」

「何さ、その用事って」

「言わんぞ。お主らに教える必要はなかろうが」

「む~。頑固なのは見た目だけにしてほしいんだけどな~」
54 : 矢橋P   2026/03/26 00:59:09 ID:wwgmpVQKTI


「誰かのお見舞いじゃないですか?」



ぼくは思わず声に出していた。黙っていればいいのに
番長さんは驚いた顔をしてぼくを見つめている
55 : 矢橋P   2026/03/26 00:59:50 ID:wwgmpVQKTI
「……どうしてそう思ったんじゃ?」

「番長さん、最初マスクを着けていたじゃないですか。でも今は外している」

「もしかしたらマスクを着用しなきゃいけないところに行ってたんじゃないかなって」


「なるほど~。それで病院に行っていたって思ったんですね~」

「それにその空の紙袋は何かを入れていたんだろうなって思って」

「お見舞いの品ってことやな」
56 : 矢橋P   2026/03/26 01:00:23 ID:wwgmpVQKTI

「大当たりじゃ。驚いたのう」

「雪雄っち、すっげー」



「ふふっ」

「あれ、美也ちゃんどしたの?」

「いえ、春子さんの褒め方が大事な仲間の一人にちょっと似てまして」
57 : 矢橋P   2026/03/26 01:00:57 ID:wwgmpVQKTI

「バレたもんはしょうがないわい。ばあちゃんに着替え持ってきてくれと頼まれてのう」

「ばあちゃんっ子なんだ〜。意外だね」

「じゃかしいわ!しかしよう気付いたのう、雪雄」

「それは……観察は得意なんで」

「そうか。自分でも似合わないことしちょるとは思っとる。恥ずかしくて言えんかったんじゃ」
58 : 矢橋P   2026/03/26 01:01:30 ID:wwgmpVQKTI

「私はおじいさんおばあさんを大切に出来る人は尊敬してますよ~」

「ぼくもそう思います」

お世辞じゃなくてそう思う。ぼくなんか両親に迷惑かけてばかりだし


「おう……なんか突然褒められると照れるのう」


照れくさそうに頬を掻く番長さんを見て段々イメージが初印象と変わってきたな
59 : 矢橋P   2026/03/26 01:01:58 ID:wwgmpVQKTI

「しかし雪雄。わしはこんななりじゃ、そんな風に言ってくれたのはお主が始めてじゃ」

「どれ、お主をいじめた奴を言ってみい。わしがやっつけてやるからのう」

「いえ……。遠慮しておきます」




さっきまで貴様達と話すつもりはない!って態度だったのに
だいぶ柔和な感じになったな番長さん
60 : 矢橋P   2026/03/26 01:02:47 ID:wwgmpVQKTI

「しかし……この車内、また一段と寒くなってないやろか」

「そう言われて見ればそうかも」


確かにさっきより寒い気もする足元が冷えて肩がぶるんと震えてきた
すると美也さんがかばんから何かを取り出した


「ならみなさんで熱いお茶でも飲みましょう〜。ちょうど水筒を持ってきていたんですよ~」


美也さんが取り出したのは水筒と紙コップだった
美也さん曰く元々雪を眺めながらお茶を飲もうと思って用意していたとのこと
紙コップまで用意しているのは出来すぎじゃないかとも思ったけど
美也さんは「何でも準備し過ぎてしまうんですよ~」と言っていた
61 : 矢橋P   2026/03/26 01:03:58 ID:wwgmpVQKTI

「あちち……。だけど身に染みるわ。五臓六腑に染み渡るとはこのことやな」

「も〜。そういうところがおっさんなんだし~」

「おっさんで何が悪い。若者たちは高齢者を大切に扱ってくれんとな~」



「……美味しいです」

「そうじゃのう。ばあちゃんが入れてくれたお茶によう似とるわい」

「そうですか~。温まってくれたら何よりです~」
62 : 矢橋P   2026/03/26 01:04:37 ID:wwgmpVQKTI

「……昔は妻もこうしてお茶を入れてくれたけどな。最近はそんなことないわ」

「おっさんの愚痴が始まったし」

「悪いかい!だいたいあいつは……」



「香山さん、今お仕事していないんですよね~?ちゃんと家事を手伝ってあげてますか~?」

「掃除とか簡単なこと以外は全部妻に任せっきりやな」

「……それでは奥さんに愛想尽かされても文句言えないですよ~?」

(ちょ……美也ちゃん)
63 : 矢橋P   2026/03/26 01:05:27 ID:wwgmpVQKTI

「ああ、そうかもな」

「正直、心に応えるんや。男ってのは単純なもんでな、どんなに仕事が辛くても笑顔で「いってらっしゃい」って言ってもらえればその日頑張れるもんや」

「でも……。今日も一言も言ってくれへん」

「自分でも悪いことをしているとはわかっとる。だけど歳をとると無駄にプライドばかり高くなってしもうてな素直に謝れんのや」




この香山さんという人は昔のわかりやすい亭主関白な人だったのだろう
それが一家の稼ぎ人から転落し、今や奥さんの方が稼いでいる現状
それに耐えられなくて家でも奥さんを思いやれないのかな
64 : 矢橋P   2026/03/26 01:06:00 ID:wwgmpVQKTI

「おっさんダサすぎ……」

「今回だけは春子に同意じゃな」

「なんやと!人がせっかく吐露したのに……」



「香山さん〜。今の奥さんとの仲を変えたいんですか~」

「ああ……。変えられるもんなら変えたいわ」

「それなら〜。いい方法がありますよ~」

「そんな方法あるんかいな、ぜひ教えてくれ!」
65 : 矢橋P   2026/03/26 01:06:36 ID:wwgmpVQKTI

「はい〜。奥さんの手を握って『今まですまんかった、許してほしい』って言うんです~」

「奥さんの顔をしっかり見て、一度も目を逸らさずに言うんですよ~」
 
 
66 : 矢橋P   2026/03/26 01:07:08 ID:wwgmpVQKTI

「なんや!そんなこと出来るわけない」



「いいじゃん。さすが美也ちゃんいいこと言うね~」

「うむ、わしも賛成じゃ」
67 : 矢橋P   2026/03/26 01:07:36 ID:wwgmpVQKTI

「簡単にいいおってからに。わしの気持ちも知らんで……」

「そんなことも出来ないからそんな関係になって悩んでおるんじゃろうが」

「ぼくたちは香山さんに比べたら幼い子供だと思います。だけど美也さんの言う通りですよ」

「ぐぐ……」
68 : 矢橋P   2026/03/26 01:08:44 ID:wwgmpVQKTI

「文句は言いながらも奥さんは家事をしたり香山さんにご飯を作ってくれたりしてくれてます。香山さんのことを見捨ててはいないと思うんです~」

「だから……今度は香山さんが応える番ですよ~」




「……わかったわ。まあ考えておくわ」

(朋花ちゃんならこう言ってたでしょうか)
69 : 矢橋P   2026/03/26 01:09:17 ID:wwgmpVQKTI

「すごいし!美也ちゃんって歌とダンスが上手いだけじゃないんだね」

「いえいえ〜。誰かの真似事みたいなものですよ~」

「ねえ、美也ちゃんにも何か悩みとかないの!」



うわっ、現役アイドルにそんなこと聞くのかぁ……
70 : 矢橋P   2026/03/26 01:09:50 ID:wwgmpVQKTI

「ありますよ~。私の周りにはすごい人たちがたくさんいますから~」

「みんなに追い付こうと毎日毎日必死ですね~」

 
71 : 矢橋P   2026/03/26 01:10:22 ID:wwgmpVQKTI

「むう。765プロほどの大所帯となると層が厚いんじゃのう」

「先輩達も激ヤバだしね~」

「厳しくも辛い業界やな。くじけそうにはならんのかい」

「そんなことを思う暇もないんです〜。前進、前進、また前進ですから~」

「さすが美也ちゃん!」

「……春子さんも逃げちゃ駄目ですよ」



静かに、だけど力強く美也さんはそう言った
72 : 矢橋P   2026/03/26 01:11:14 ID:wwgmpVQKTI

「に、逃げてねーし!」

「いいえ、逃げてます。春子さんには春子さんのやることがあるはずですよ」

「あたしはやりたいことが無いだけだし!」

「だからといってやらない理由にはならんやろ。そういうことやな美也ちゃん」

「う……」
73 : 矢橋P   2026/03/26 01:11:43 ID:wwgmpVQKTI

「……春子さん。私は実は歌もダンスも元々得意じゃなかったんです」

「だけどアイドルとして積み重ねているうちに楽しくなってきました」

「自分の本当にやりたいこと。それは学校に通いながらでも探せるんじゃないでしょうか」

 
74 : 矢橋P   2026/03/26 01:12:51 ID:wwgmpVQKTI

「あたしは美也ちゃんみたいに出来ないよ……」

「私だって順風満帆なわけではないですよ~。とある歌にある通り『三歩進んで二歩下がる』、時に一歩進んで二歩下がっちゃう時もありますけど」

「人生は~そんなものなんですよ」




「……そうだよね。美也ちゃんがそう言ってくれるならあたし頑張るよ」


春子さん……
75 : 矢橋P   2026/03/26 01:14:12 ID:wwgmpVQKTI

「美也ちゃんはすごいなぁ。自分もファンになってしまうやないか」

「それほどでもないですよ~。でもこれでファンが増えましたね~」



「みんな、ごめん!」

「どうかしたんか、雪雄」

「みんなに学校に通ってない理由がいじめだって言ったけど、それ嘘なんです」

「兄が優秀で……ぼくも同じ進学校に通わないとって思って……」
76 : 矢橋P   2026/03/26 01:14:44 ID:wwgmpVQKTI

そうだ。あの進学校ぼくの学力じゃ不相応だった
でも小さい頃から頭の良い兄と比べてられて
兄と同じ学校に自分も入らなきゃ……って勝手に焦ってしまって
何とか入学出来たもののやっぱり着いていけなくて
心のどこかでは学校に行きたくなくなってしまっていたんだ
77 : 矢橋P   2026/03/26 01:15:41 ID:wwgmpVQKTI

「なんだそんなことかいな。びっくりしたやないか」

「よく自分から言えたのう。大したもんじゃ」

「あたしも同じようなもんだしー」

「大丈夫ですよ~。ここにいるみんなは雪雄さんの味方ですから~」



でもそんな見栄しかない嘘も4人は笑って流してくれた
78 : 矢橋P   2026/03/26 01:17:50 ID:wwgmpVQKTI

「けどな、自分が言うのもなんだが早く何とかしたほうがええで」

「今の中学校が駄目ならいっそ別の学校に移ったらどうじゃ」

「ならあたしの学校に来る~?あっ、あたしは高校だったわ」



みんな簡単にづけづけ言うなぁ
でもその通りだ
79 : 矢橋P   2026/03/26 01:18:47 ID:wwgmpVQKTI

「まずはもう一回学校に通ってみましょう~。それからじっくり考えてみてはどうでしょうか~」

「でも……、それが出来ないんです」



「仕方ないですね……」


そう言って美也ちゃんがかばんから出したのは……将棋の駒?
80 : 矢橋P   2026/03/26 01:19:34 ID:wwgmpVQKTI

「雪雄さんにはこれをあげます。これを握ると勇気が出るんですよ~」

「そんな、受け取れないです!」

「いいからもらっておけい」

「美也ちゃん、あたしにもちょーだい!」

「いいですよ~。まだまだありますからね~」




ちょっと強引に手渡されたのは『歩』
一番弱い駒だけどぼくにはぴったりだ
81 : 矢橋P   2026/03/26 01:21:14 ID:wwgmpVQKTI


「雪雄さんと春子さんに駒と共に大好きな私の仲間の言葉を贈りましょう『歩の道も一歩から』」


「ちなみに私の駒は『香車』です。横や後ろを向かない。まっすぐまっすぐ前にだけ進む駒なんですよ~」


 
82 : 矢橋P   2026/03/26 01:22:20 ID:wwgmpVQKTI


『お待たせしました。踏切の異常が無くなったと確認取れましたので運行を再開いたします』



ガタン  ゴトン


 
83 : 矢橋P   2026/03/26 01:22:50 ID:wwgmpVQKTI

「おや~」

「なんや突然」

「今さらかい」

「なんだか狙ったみたいだし」





美也さんのその言葉を待っていたかのように電車は突然動き出した
84 : 矢橋P   2026/03/26 01:23:49 ID:wwgmpVQKTI


「ていうか!美也ちゃんあたしたちに構うだけじゃなくて自分のこともっと宣伝しなよ!」

「そうですな~。私、宮尾美也は歴史に名を残すアイドルになるのでみなさんお見知りおきを~」

「だーっ、結局宣伝するんかいな」



正直それは蛇足だったと思う
だって、そんなことしなくても4人の心にしっかりと刻んでいったのだから



 
85 : 矢橋P   2026/03/26 01:24:43 ID:wwgmpVQKTI

あの後5人はすんなり別れた
また会おうね。とも言わなかったし連絡先も交換していない


でもそれでいいんだ
あの出会いは運命的な出会いでも必然的な出会いでもない偶々で偶然的な出会いなのだから

それに一度限りの後腐れない関係だったからみんな本音を言い合えた
これがなまじ仲がいい関係だったのならお互いに遠慮し合って本音なんか言えなかったかもしれない
86 : 矢橋P   2026/03/26 01:25:00 ID:wwgmpVQKTI

そう
あれはとある雪が降った日に起きた特別な出来事
雪のように後に残らずすぐにふわりと消えてしまう物語









 
87 : 矢橋P   2026/03/26 01:25:42 ID:wwgmpVQKTI









それから2カ月経ち4月になった
ぼくは一人で765プロ劇場に居る。宮尾美也のバースデーライブのチケットを握りしめて
88 : 矢橋P   2026/03/26 01:26:39 ID:wwgmpVQKTI

「ここが765プロ劇場。すごいところだなぁ……」



とか言っているけどぼくみたいな陰キャラはライブ会場は初めてだ
美也さんのペンライトは買ったけど、ちゃんとうまくコール出来るだろうか
89 : 矢橋P   2026/03/26 01:27:25 ID:wwgmpVQKTI

「隣、ええかのう」

「え、あの……って番長さん!?」


「お主も来とったのか。後方に春子のやつもおったわ」

「春子さんまで……」


「春子のやつにも一言かけようと思ったが、友人と参加しているようだったからそっとしておいたわ」

「そうですか……」


まあ春子さんなら布教活動に余念がなさそうだしね
90 : 矢橋P   2026/03/26 01:28:15 ID:wwgmpVQKTI

「この分だと香山さんもいそうですね」

「まあ、おるじゃろうな。奥さんと二人で来てりゃええがのう」

「そうですね。……番長さんペンライト持ってますか?」

「ん?なんじゃそれは」


やっぱり……


「仕方ないですね……」


ぼくはもう一本のペンライトを取り出して番長さんに諸々説明をする








 
91 : 矢橋P   2026/03/26 01:29:21 ID:wwgmpVQKTI

後で知ることになるが香山さんはあの後奥さんにちゃんと謝ったらしい
奥さんは気味悪がりながら「そんなこと言うなら働きな!」って言い返されたらしいけど
今は奥さんの職場で同じパートとして奥さんにどやされながら働いている
おばあちゃんが多い職場で男手が欲しかったとのことで自衛隊仕込みの体力が重宝されているらしい


春子さんは美也さんの言いつけを守って今は真面目に学校に通っている
自分のやりたいことは学校では見つからなかったらしいんだけど、美也ちゃんの為に頑張ることが自分の一番やりたいこととして頑張る気力になっているんだって


番長さんは特に変わってない
結局最後まで一番まともだったのはこの人だったな
92 : 矢橋P   2026/03/26 01:29:49 ID:wwgmpVQKTI

そしてぼくはあれから……学校に通えることが出来るようになった
駅から降りるのを三回ぐらい失敗したけども美也さんからもらった歩の駒を握りしめ
なけなしの勇気を振り絞ったら降りることが出来た
だけど大変なのはそれからで、ただでさえ足りなかった勉強が更に遅れてしまったのだから
親にも学校にもしっかり謝った。そうしたら何とか許してもらえた
勉強は兄に頭を下げて勉強を教えてもらっている
今もめちゃくちゃ大変だけど……案外何とかなるもんだ
93 : 矢橋P   2026/03/26 01:30:42 ID:wwgmpVQKTI

偶然出会ったぼくたち5人の関係はあの日でお終い
だから今は『美也さんのファン』として繋がっている
美也さんのおかげで繋がっている不思議な縁










 
94 : 矢橋P   2026/03/26 01:32:47 ID:wwgmpVQKTI

……いかがでしょうか~


実はあの日私も少し疲れていたんです
だからあの日オフを利用してちょっとした旅行のつもりでしたが……
とてもすてきな出来事に出会えました~
みんなとお話ししたらとても元気がもらえたんですよ?
神さまに感謝しないといけませんね~



おや~また雪が降ってきました~
また不思議な出会いが待っているのかもしれませんね~





 ~おしまい~
 
95 : 矢橋P   2026/03/26 01:47:42 ID:wwgmpVQKTI

長文拝読ありがとうございます


このお話は作者の体験を元にしたオリジナル作品ですが、影響受けた作品を強いて上げるなら星新一の「ある夜の物語」でしょうか
星新一の作品の中で一番好きな作品です


あと作品の雰囲気をぶち壊すので作中では言いませんでしたが普通の電車の切符で長時間電車に乗っていると改札口で止められます
札幌在住の作者は職場で嫌なことがあった日に帰りの電車で札幌から海の景色を眺めながら南小樽駅まで乗って改札口を降りないでUターンして札幌まで帰ってきたら改札口で止められました
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