恋鐘「だけん言っとるっしょ！うちはプロとして責任ばもって仕事しとるけん！いつまでもお父ちゃんにあれこれ言われたくなか！お母ちゃんからもそう言いよって！」

ﾌﾟﾁｯ

結華「こがたん、誰と電話してたの？」

恋鐘「お母ちゃん。急に“お父ちゃんの機嫌が悪いから今度の帰省はやめたほうがよか”って言われたと」

結華「ええ？なんで？」

恋鐘「うち、こないだ週刊誌のグラビアの仕事したやろ？あれ見てから様子が変らしいばい」

結華「あの際どい水着のやつかあ～。確かに親御さんからしたらちょっと複雑な気持ちになっちゃうかもね」

恋鐘「ばってん、アイドルとして順調に進化しとー証拠やろ？お父ちゃんもいい加減うちのこと認めてほしか！」

結華「そうだねえ。こがたんがどれだけ頑張ってるのかを考えてほしいよね。スケジュール調整して久々に帰省する時間が取れたのに」

恋鐘「そん通りたい！」

結華「あんまり家庭の事情に口出しするべきじゃないのかもだけど……直接会ってよく話し合ってきなよ。お父さんも元芸能人なんだからわかってくれるって」

　・

　・

　・

　・

～1週間後～


恋鐘「着いたーー！」

恋鐘「はあ……久しぶりの海の匂い……懐かしか～」

恋鐘「お土産たくさん買ってきたけん、早う帰ってお父ちゃんたちに渡すばい」

ﾖﾛｯ……

恋鐘「さ、さすがに重かね……ちょっと欲張りすぎたかもしれん……」

ｽﾞﾙｯ

恋鐘「うわっ！？」

男性「危ない！」

ﾄﾞﾝｯ!

恋鐘「も、もう少しで階段から落ちるところやった……ありがとね、おじさん」

男性「そんな大荷物抱えてたら転ぶに決まってるだろ。少し持ってあげようか」

恋鐘「気使わんでくれてよか。家までそんなに遠くないけん」

男性「そうか。なら大丈……ん？」

男性「君……もしかして月岡恋鐘ちゃん？」

恋鐘「おお、うちの知名度も上がってきとるね～。今日は久々の長崎凱旋なんよ」

男性「そうか……。なら、やっぱり荷物持つよ。行き先が同じだからね」

恋鐘「はえ？」

男性「おじさんね、君のお父さんに会いに来たんだよ」

　・

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　・

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恋鐘「へえ、白鳥さんも東京から来たと？奇遇やねえ」

白鳥「生まれはこっちのほうなんだけどね。長いこと向こうにいたせいで長崎の言葉は忘れちゃったよ」

恋鐘「すぐ都会慣れできて羨ましか～。うちなんてどうしても方言が抜けなかったせいで何度もオーディション落とされたんよ」

白鳥「そんなに羨ましがるようなことじゃないよ。ここ何年かはずっと西寄りのほうにいたから都会ってほどじゃなかったし」

恋鐘「23区じゃなくても東京は都会たい！」

恋鐘「そいにしても白鳥さんイケボやね～。太くて厚みがあって……演歌歌ったら映えそうばい」

白鳥「……そうかい。アイドルに褒められるなんて嬉しいね」

恋鐘「うち、演歌には一家言あるたい。なにせお父ちゃんが演歌歌手やったからね」

白鳥「ああ、知ってるよ。お父さんとは昔馴染みだからね……」

白鳥「しかしこのあたりは全然変わってないんだな。あそこの駐車場の角を曲がったところがつきおか食堂だっけ？」

恋鐘「そうばい。……あ！お父ちゃんや！おーい！」


恋鐘の父「……！」

恋鐘「お父ちゃん、ただい――」

恋鐘の父「なんでお前がおるんや」

恋鐘「へ？」

恋鐘の父「なんで恋鐘とおるんや……白鳥！」

白鳥「そんな言い方するなよ。何度も手紙出しただろ？“久しぶりに昔話でもしよう”って」

恋鐘の父「失せろ！今、オマエと話すことなんか無か！」

白鳥「落ち着けって……ああそうか、娘の前じゃダメってことか」

恋鐘「二人ともどうしたと……？うち、わけがわからん……」

白鳥「悪いね恋鐘ちゃん、荷物持ちはここまでだ。また今度……お父さんの機嫌が直ったころに来るよ」

恋鐘「え？え？」

白鳥「じゃあね」

恋鐘の父「――帰って来るなと言うたやろ」

恋鐘「えっと、その、うち、お父ちゃんと話がしたくて……」

恋鐘の父「あんな裸みたいな写真の本ば出回って、俺が喜んどるとでも思ったんか」

恋鐘「裸て……そげんことなか……」

恋鐘の父「親の反対押し切って上京して、やりたかったんはあんなことか」

恋鐘「なしてそがんこと言うと！？うち、何度オーディション落ちても諦めんで、きばって、きばって、やっと夢が叶ったとよ！？グラビアやて、編集部の偉い人が直接うちを指名してくれて、恥ずかしいの我慢して受けたのに……」

恋鐘の父「そがん忙しいならこんな所で油売っとらんと、早う東京帰れや」

恋鐘「っ！！」

恋鐘の父「――もう遅かけん、今日は泊まってけ。ばってんはっきり言うとくぞ。俺はもうお前の顔ば見とうなか」

恋鐘の父「明日ん飛行機で帰れ……わかったな」

　・

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　・

　・

～翌日～


恋鐘(なしてこがんことになると……？)

恋鐘(うちがアイドルするの、そがん悪いことなんか……？)

恋鐘(それに……あの白鳥さんって、何者なんやろ)

恋鐘(お父ちゃんがあがん怒るのなんて久しぶりに見たと。小さいころ、店にいちゃもんつけたチンピラば追い出した時以来かもしれん……)

恋鐘(あん時は大変やったなあ。怒ったチンピラが仲間連れて仕返しに来て……)

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恋鐘の父『蛆虫の大量発生だな、あーっ？』

チンピラ『このチンカスが！』
チンピラ『足腰だけやない、チンチンも立たんようにしたんどこらあっ！』

ｳｵｵｵｵｵｵｵ!
ｺﾞｯ!ﾊﾞｷｯ!
ﾎﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞｯ!ﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟﾝ!
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

恋鐘(ばってん、お父ちゃんひとりで全員ぶちのめしてたなあ……ほんと怖かったわ……)

恋鐘(とくにあの……最後のひとりを倒した技……なんやったっけ……？)

恋鐘(たしかこう……足を踏ん張って……腰をねじりながら……)

ｷﾞｭｯ ｷﾞｭｯ
ﾀｰﾝ

日焼けした男「おおっ？恋鐘ちゃん、帰ってきとったんか！」

恋鐘「あ、釣具屋のおっちゃん！久しぶりやなあ」

日焼けした男「変な踊りしてどがんしたと？ライブの練習か？」

恋鐘「見られとったんか……恥ずかしか～」

日焼けした男「恋鐘ちゃん最近は大活躍やなあ。こん前のグラビアもばーり可愛かったばい。大将も喜んどったとよ」

恋鐘「……え？お父ちゃんが？なんかの間違いやなかと？」

日焼けした男「あがん人やけん素直に口に出さんけど、記念に何冊も買うて俺たちに配っとったばい。なんやかんやいって恋鐘ちゃんこと応援しとーっさ」

恋鐘「ほ……本当に？」

恋鐘(お父ちゃん、うちのグラビアに怒っとったんじゃなかと？)

恋鐘(じゃあ、なして帰って来るななんて言ったばい？他に考えられる原因は……)

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白鳥『そんな言い方するなよ。何度も手紙出しただろ？“久しぶりに昔話でもしよう”って』

恋鐘の父『失せろ！今、オマエと話すことなんか無か！』

白鳥『落ち着けって……ああそうか、娘の前じゃダメってことか』
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

恋鐘(もしかして……白鳥さんが来るから？うちをあの人と会わせたくなかった？)

恋鐘(そういえば、今どき手紙でやりとりってのも変な気がするばい)

恋鐘(うーん……他にもひっかかる事……言うてたような……)

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白鳥『そんなに羨ましがるようなことじゃないよ。ここ何年かはずっと西寄りのほうにいたから都会ってほどじゃなかったし』
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恋鐘『そいにしても白鳥さんイケボやね～。太くて厚みがあって……演歌歌ったら映えそうばい』
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恋鐘(東京の……西……？手紙で連絡……お父ちゃんの昔の知り合い……？)

恋鐘(……あ！)

恋鐘(もしそうなら……スマホで検索すればわかるばい！)
ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ


≪検索ワード≫
白鳥　歌手　逮捕


恋鐘(……！！)

≪ホームレス殺害事件 元演歌歌手に懲役5年判決≫

昨年10月、品川区で路上生活者の男性を殺害したとして殺人等の罪に問われた、白鳥剣(42)被告の裁判員裁判で、東京地裁は11日、求刑通り懲役5年の実刑判決を言い渡した。
被告は以前演歌歌手として活動していたが、反社会勢力との繋がりが週刊誌に報道された影響で事件の3ヶ月前に所属事務所から契約を解除されていた。


アカツキ新聞　

恋鐘(ちょうど5年前の記事……あの人、出所したての受刑者なんや！)

恋鐘(お父ちゃん、歌手時代に関わりがあったと？刑務所からの手紙でなんか言われた？どうなっとるばい！？)

日焼けした男性「恋鐘ちゃんどがんしたと？気分悪か？」

恋鐘「だ、大丈夫やよ。ちょっとびっくりして……昨日、お父ちゃんの知り合いが家に来たりとか……いろいろあったというか……」

日焼けした男性「ああ、もしかしてこがん髪型したガタイのいいオッサンのことか？」

恋鐘「知っとーと！？」

日焼けした男性「ここに来る途中で大将と南埠頭ん方に行くのを見たばい。あがん廃倉庫しかなかとこになんの用があるんかね……」

恋鐘「お父ちゃん……アカン！」

ﾀﾞｯ

日焼けした男性「ちょ！？どこ行くったい！？おーい！」

　・

　・

　・

　・

白鳥「まったく世の中わからねえもんだよな。俺に負けて田舎に逃げ帰ったお前はそこそこ成功してて、当の俺はこのザマなんだからな」

恋鐘の父「……道を踏み外さんば、お前にも可能性はあったとやろ」

白鳥「営業先の社長がヤクザだったなんて誰がわかるんだよ？たった3回パーティで歌ってギャラもらっただけでクビにならなきゃいけねえのか？小銭稼ぎみてえな仕事しか回してこなかったくせによ……あのクソ事務所……」

恋鐘の父「そいでも真面目にやっとりゃ再起ん目はあったとやろ！なんで人殺しなんてした！」

白鳥「嫌いなんだよ……生きてる意味もないゴキブリみたいな連中が……あいつらを見てると俺もいつかあそこまで落ちてくんじゃないかと思えてよ……」

白鳥「運が悪かったんだ……警察も最初はホームレス同士の争いだと思い込んでたのに……あの新聞記者の野郎が俺のことを嗅ぎ付けたせいで……」

恋鐘の父「本当に変わってしもうたな、お前……人間的に劣化しきっとるわ」

白鳥「そんな下種野郎が人気アイドルの側でうろちょろしてるってのは世間的にどうなんだろうな？お父さんよ」

恋鐘の父「なにっ」

白鳥「服役してる間に世の中がずいぶんと変わったよなあ……俺がクビになった時よりずっと周囲の目が厳しい。SNS時代って言うのか？ちょっとしたことで炎上して社会から抹殺されちまう……おお怖い」

恋鐘の父「脅しか？俺から金を引き出そうとでも言うんか」

白鳥「おいおい、金なんて握らせたところで俺の気が変わったら終わりだろ？口約束を律儀に守る人間に見えるか？」

恋鐘の父「くっ……」

白鳥「俺はお前にへばりついてる時限爆弾みたいなもんだ。いつ起爆するだろうな？明日か？明後日か？心配で眠れなくなっちまうな？」

白鳥「そんな生活したくなけりゃさあ……手段はひとつしかないだろ？そうだよな、恋鐘ちゃん？」

恋鐘の父「なにっ」

恋鐘「お父ちゃん……」

恋鐘の父「お前、なんでここに……」

白鳥「俺が呼んだんじゃないぞ？自分で嗅ぎ付けて来たんだろうな……賢い子だ……大事に育てられてきたんだろう……どんな手を使っても守ってやらないとな？“お父さん”」

恋鐘の父「……卑怯もんが」

恋鐘の父「お前から手紙が届いた時からこうなる予感はしとった……ばってん期待もしとったんや。俺に演歌ば諦めさせた男、俺の夢ば終わらせた男が、今度こそ立ち直ってくれると」

恋鐘の父「もし、そうでなかったら……恋鐘に危害が及ぶなら……そん時は本気で“ぶっ殺す”しかないと覚悟しとった」

ｻﾞｯ

白鳥「ほーら、お父さんが人殺しの目になった」

恋鐘「あかん！お父ちゃん、そんなことしたらあかん！」

恋鐘(白鳥は自暴自棄になっとるだけや！お父ちゃんに自分ば殺させようとしとる！)

恋鐘の父「おおおおおおおおっ！」

恋鐘「やめてっ！！」

ﾄﾞﾝｯ

恋鐘の父「ぐうっ！？」

恋鐘「あんたも大概にせえっ！」

ﾊﾞﾁｰﾝ!

白鳥「なにっ」

恋鐘「5年も刑務所におってまだ目が覚めんとか！？なんでもかんでも周りのせいにして、あんたはガキや！ガキンチョや！」

白鳥「は……ははっ」

白鳥「痛えなあ……ビンタなんて久しぶりだ……あの時……俺を捕まえた新聞記者にぶちのめされたとき以来……ひひっ……ひひひひひひひっ……」

恋鐘の父(こいつ……完全に壊れとるっ！)

恋鐘「よーわかった。そこまでイカレとるなら……うちが引導渡したるっ！」

白鳥「はあ？」

恋鐘「覚悟せえっ！」

ﾄﾞﾝｯ!

恋鐘の父(なにっ……あの構えは！)

恋鐘(地面ば強う踏みつけエネルギーば起こす……そん反作用を膝で溜め……腰ん捻りでさらに強め……全体重ば腕に乗せるように……一気に放つっ！)

恋鐘の父「その技はやめろーーっ！！」

恋鐘「うりゃああああああああああああああ！！！」

ゴッ!

白鳥「はうっ」

ﾄﾞｸﾝ……ﾄﾞｸﾝ…

白鳥「え……は……？」

ﾄﾞｯ……ﾄﾞ……

白鳥「心臓、が……」


……


…

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　・

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ﾊﾞﾁｰﾝ!
『あまったれてんじゃねえっ！』

ﾊﾞﾁｰﾝ!
『落ちるとこまで落ちた時にその人間の真価が問われるんだっ！』

ﾊﾞﾁｰﾝ!
『苦しんでるのはてめえだけじゃねえっ！』
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

クソ新聞記者め……

オマエに何がわかる……

どん底まで落ちたら……やり直しなんてきかねえんだよ……

履歴書に名前を書いただけで俺が過去に何をしたかわかっちまう……

ネットとSNSに支配された社会で……俺が生きてく場所なんて……どこにも……

　・

　・

　・

　・

『電流を流します』
ﾄﾞﾝｯ!


白鳥「おごっ！？」

恋鐘の父「おおっ！戻ってきたっ!」

白鳥「なっ……なんだっ……これっ……」

恋鐘の父「恋鐘が店のAEDば持ってきとったんや」

白鳥「俺は……気絶してたのか……？」

恋鐘「いやっ、あんたは死んどったんばい」

恋鐘「屑人間の白鳥剣はうちの“破心拳”であの世に送ったとよ！今ここにおるのは“NEO.白鳥剣”たい！」

恋鐘「やけん、今度こそ心ば入れ替えて生きてけばよか」

白鳥「はっ……なんだよそれ……」

白鳥「こんな……娘くらいのガキに殺られて……くくく……」

白鳥「もう……情けなさ過ぎて……なんもできねえ……」

白鳥「しっかり殺してくれよ……バカヤロー……」

　・

　・

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恋鐘「あんだけ痛めつけとけば、うちらに関わろうって気は金輪際起きんやろ」

恋鐘の父「だとええけどな」

恋鐘「まあ、なんかしてきたらまたぶっ飛ばすだけばい！」

恋鐘の父「お前、どこでさっきの技ば覚えた？あれは俺が昔、護身術の先生から教わったもんやぞ」

恋鐘「小さいころ、お父ちゃんがチンピラをやっつける時に見たけん」

恋鐘の父「本物の天才か、お前」

恋鐘「……ねえ、覚えとる？うちが上京する前にお父ちゃんが言ったこと」

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
恋鐘の父『芸能界に入れば、一時はちやほやされるかもしれん。でも、そがん中に浸かっとると、本当にやらなあかんことを忘れてしまったり……大事にせんといかん人をおざなりにしてしまったりする』

恋鐘の父『いっときの夢の覚めた後に、自分を取り戻すには、時間のかかるとよ。俺は恋鐘に、そうなってほしくなか』
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

恋鐘「あれ、白鳥さんのことやったんね」

恋鐘の父「……ああ」

恋鐘の父「俺が演歌を諦めたんは、どうあがいてもあいつに勝てんと思ってしもうたからや。それで家業ば継いで……しばらくは演歌を聞くのも嫌になっとった……」

恋鐘の父「逮捕んニュースば聞いたとき、腰が砕けるかと思った。あいつが落ちこぼれのクズやったら、それに負けて夢を諦めた俺はなんやったんや、ってな」

恋鐘の父「芸能界はなにが起こるかわからん。今日みたいなことがまた起きてもおかしゅうなか。……それでも、お前はアイドルが好きか？」

恋鐘「うん！というか父ちゃん、本当はうちのこと応援してくれてたとね。釣具屋のおっちゃんに聞いたばい」

恋鐘の父「ぐっ……あのバカ……」

恋鐘「演歌歌手は一人やけど、うちにはプロデューサーもアンティーカの仲間たちもおるけん。うちが困ったら助けてくれるし、困ってる人がいたらうちが助ける！だから大丈夫！」

恋鐘の父「そうか……そんならよか」

恋鐘「そんでも……もし、本当にどうしようもなくなったら……帰ってきてもよかと？」

恋鐘の父「……当たり前や。この先何があろうと、俺と母ちゃんはメシ用意して待っとるけん、安心して戦うてこい」

恋鐘「へへ、ありがと！」

恋鐘の父「ばってんな、水着の仕事は、その……もう少しなんとかしてもらえ。宣伝するとき恥ずかしかけん……」

恋鐘「ええ～？それ、大量買いしてご近所に配っとる人のセリフ？」

恋鐘の父「お前の仕事ならどがんことでも宣伝せんばいかんじゃろ！やけん気をつけろって話たい！」

恋鐘「ふふ、考えとくばい♪」

　・

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　・

　・

～3日後～


恋鐘「ただいま～」

ｽﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ!

結華「なにっ」

恋鐘「長崎土産たい！い～っぱい買ってきたから後でみんなに配るばい！」

結華「いやいや、この量を担いできたの？宅配便使えばよかったんじゃ……」

恋鐘「そんなん送料がもったいなか。帰省中にお父ちゃんと稽古したからこんぐらい余裕で担げるとよ！」

結華「なんかよくわからないけど、仲直りできたってことでいいのかな？」

恋鐘「うん！うちの家族の絆は今までより何十倍、何百倍もタフになったばい！これからはお父ちゃんの分もば～りばり仕事して、トップ・スターになっちゃるけんね！」


結華(ううむ……こがたんから今までにない“気”を感じる……これは三峰も油断してられませんなあ)

恋鐘「恋の岬に鐘が鳴る～♪夢も、愛も、終わらない～♪」

恋鐘「よーし、やったるばーい！」

お　し　ま　い


「芸能界は怖い、厳しい世界」というのは大人にとっての常識ですが、それを創作物に落し込むのは案外難しいもので、匙加減を間違えるとただただ陰鬱とした作品になってしまいがちです。(そういった作品にも名作が数多く存在しますが)

とくに年頃の少年少女に感情移入して楽しませなければいけないアイドルゲームにおいては、業界のドロドロしたネタを扱うのはかなりリスキーな挑戦にならざるを得ないでしょう。
シャイニーカラーズの面白い所は、そういった話をかなり積極的にシナリオに盛り込んでいるところだと思います。
大人の汚さ、業界の腐敗、家族との軋轢……良い意味でアイマスシリーズの「お約束」を壊すことに力を入れていますよね。

美空ひばりが堂々とヤクザのスポンサーをつけていたのも過去の話、裏社会との関わりはなあなあでもタブーとなり、SNSの発展で強まる監視社会の重圧の中で生きていかなければいけないのが現代の芸能人です。
今回は、そんな時代背景をアイマスの世界に持ち込んだらどうなるのか？アイドルはどう立ち向かうのか？といったことを考えながら筆を走らせてみました。
そして、できることなら恋鐘には、持ち前の明るさでどんな困難もぶち破って進んでほしいと思いました。

時には暴走し、時には派手に転びながらもアンティーカを引っ張る彼女の姿には何度も勇気づけられてきました。
283プロも大所帯になってきましたが、その先頭を走り続けるアンティーカの活躍を、これからも見守っていきたいですね。

乙一
こういう話好きよ

お見事です>>1ボー

途中からの急激な猿分濃度の上昇に笑いがこらえきれなかったのが俺なんだよね
鉄拳伝本編にも通じる爽やかなまとめ方もワシめっちゃ好きだし

ぜっっっったいこの前のプレイボーイ見て思い付いた話だろこれ

こがたんそんなに強かったのか。腕っぷしと度胸と喉の力は父親譲りなのかな

素直に褒めれない父親が微笑ましかった

一つのストーリーとして綺麗に収まっていて良かったです。乙でした

>>70
これは親御さんに見せられませんね

ゲーム本編の台詞と猿漫画の台詞が混ざりあってるせいで猿先生が書いたシャニマスって感じがするんだ

乙
今回の祭は力作が多いけどタフ分だけがなかったのでこのSSで満足しました

あかんやんタフネタなんて蛆虫みたいな事しよったら バン・ナムも悲しむで

スレ・タイに釣られたマネモブも泣かせる人情話
見事やな…（ﾆｺｯ）

恋鐘コミュの理解度がすごい
猿漫画に対する愛もすごい